「スライシング」という芝生のお手入れ法をご存知ですか?

あまり聞いたことがないかもしれませんが、是非ご自宅のお庭でもスライシングを検討してみてください。というのも、スライシングには老化した芝生を若返らせるという驚きの効果があるからです。

特に、3年目以上の芝生を持っている方は必見です。

目次

    スライシングとは?

    スライシングとは、その名の通り芝生をスライス=切ること。ターフカッターと呼ばれるシャベル状の大きな刃を使い、芝生に切れ込みを入れていくお手入れのことをいいます。

    スライシングすることで、芝生にとって次のような効果があります。

    • 芝の新しい根を生長させる
    • 芝生の排水性を改善する
    • 土壌の通気性を改善する

    エアレーションという芝生に穴を開けるお手入れの効果と似ていますが、エアレーションとスライシングの効果には、大きな違いがひとつあります。それは、スライシングの方が根切り効果が高いということ。

    芝生の根切りはなぜ必要?芝生の根切りの必要性と時期について

    根切り効果の高さにより、エアレーション以上に芝の新しい根を伸ばす力があるのがスライシングです。それでは、スライシングが持つ芝生への効果について、詳しく見ていきましょう。

    芝の新しい根を生長させる

    伸び切った古い根は、カットすることで刺激を受け、切った場所から新しい根が生まれやすくなります。植物の根は、一度生長しきってしまうとなかなかそれ以上伸びていきません。

    根が伸びないと養分が吸える量も増えないので、地上部が育つこともなくなります。そこで、成長しきった根を切ることで新たな根を出し、生長を再開させるのです。

    新しい根が増えると、新芽が生えやすくなり芝生の密度が上がっていくという仕組みです。スライシングは、ターフカッターを使用することで芝生の深くまで根を切ることができます。

    芝生の古い根をしっかりと切ることで新陳代謝を上げ、芝生を若返らせる効果が大きいお手入れなのです。

    芝生の排水性を改善する

    土に深く切れ込みを入れることで、固く締まった土壌に裂け目が入るため、水はけがよくなります。

    水はけの悪い土壌は、病気の原因となります。キノコやコケが生えやすくなり、景観悪化にもつながります。スライシングによって芝生の排水性が改善されるので、芝生を健全に保つことができます。

    土壌の通気性を改善する

    スライシングでは、土にターフカッターを入れるため、土壌の深い部分まで酸素を行き渡らせる効果があります。土に空気を送り酸素と触れさせることで、根の健全な呼吸を促し、土壌環境を改善できます。

    有機物を分解する土中の微生物も、酸素があることで活発になります。微生物の働きで健康的な土壌環境が保たれるため、結果的に病気や害虫がつきにくい芝生になるのです。

    スライシングの方法

    スライシングのやり方について詳細を見ていきましょう。使用する道具、作業手順、作業時期、注意点の順に紹介していきます。

    道具

    スライシングに必要な道具は次のとおりです。

    • ターフカッター ※用意できない場合は、大型のシャベル
    • 軍手
    • 運動靴

    効率的に作業するには、ターフカッターの使用がおすすめです。ターフカッターはシャベルのような形状をしており、下が刃になっているスライシング用の道具です。足で踏み込んで土に突き刺す様に使用します。

    どうしてもターフカッターを用意できない場合は、大型のシャベルを同様に突き刺して使用してもよいでしょう。ただし、シャベルを芝生の深い根を切るほど突き刺すには、かなりの労力が必要とされます。

    作業手順

    スライシングは、次の手順で作業しましょう。

    1. 刃が錆びている場合は研ぐ
    2. ターフカッターを足で踏み込み、芝生にまっすぐ切れ込みを入れていく
    3. 20~30cmほどの間隔で、切れ込みを入れる
    4. 作業後は、ターフカッターの刃を軽く洗い水気を取る

    通常は、タテならタテ、ヨコならヨコの1方向カットで十分。しかし、より大きな効果が実感したい場合は、格子模様になるようなイメージで垂直方向からのカットも入れるとよいでしょう。

    時期

    スライシングは年1回行ってください。作業時期としておすすめなのは3月中旬ごろ。芝生の根の活動が活発化してくる時期であり、新たな根を伸ばしやすいからです。

    もし、よりスライシング効果を感じたい場合は、9月下旬頃にもう一度行うとよいでしょう。

    注意点

    注意点は次の3点です。

    • 実施する時期に気をつける
    • 作業は3年目から
    • 花壇や植木の近くはスライシングしない
      実施する時期に気をつける

    根の深くまで傷つける作業なので、根が伸びない休眠期のスライシングは避けてください。芝生へのダメージが大きいため、芝生の復活までに時間がかかることを見越して作業しましょう。

    作業時期としておすすめした3月中旬以外に作業した場合、枯れることはないものの復活までに時間がかかります。時期を逃すと、本来芝生が最も美しくなる時までに回復が間に合わない可能性もあります。しっかりとスケジュールを組んで、計画的に行いましょう。

    作業は3年目から

    スライシングは古い根の新陳代謝を促すのが目的なので、根張りが発展途上な芝生では行いません。

    根張りの浅い1〜2年目の芝生を切ってしまうと、切った部分から剥がれてしまう可能性があります。スライシングは、これ以上の生長が見込めなくなる3年目以降から実施しましょう。

    花壇や植木の近くはスライシングしない

    エアレーションと同様、根を傷つけたら困る植物の近くはスライシングを避けましょう。

    まとめ

    芝生を持つ人でも、スライシングまでしているのは少数派かもしれません。しかし、人が見惚れるような美しい芝生にするには欠かせない作業。それが、スライシングです。

    手間をかけた人を裏切らないのが、芝生の素晴らしいところ。ぜひ、年1回のスライシングで自慢の芝生を作り上げましょう!

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